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医療におけるデータマイニング講座

◇◆ 内 容 ◆◇

この書籍は、さまざまな分野で活用されている、データマイニング技術の活用事例を、医療業界を中心に多職種にわたりまとめた先駆的な事例集です。

☆ データマイニングの法則 ☆

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【対象】

コンピューター関連・データ管理者・研究者・企業経営者・企業現場担当者・病院経営陣・医療職・DPC担当者


目次


序文

データマイニングという言葉を耳にされた方は少なくはないと思われるが、それを使っている現場を知っているかと聞けば、ほぼ過半数の方が知らないと答えるのではないだろうか。

 私は、元在籍していた日本IBM株式会社の頃にBIエバンジェリストとして多方面にデータマイニングの価値をお話して啓蒙活動をしてきたが、製造業や金融業は良いが、流通業やサービス業にはなかなか浸透していかなかった。

 1997年頃、国立国際医療センターの当事の情報システム室長の秋山先生から医療業界にデータマイニングの必要性を訴えるようにと要請され、当事独法化される前の全国の国立病院に勤務する医師にその価値について企業事例を基にお話しすることになった。

 数年連続でEBM教育の一環として携わった。その後、データマイニング技術は国立病院機構の中で臨床研究プロジェクトとして幅広く使われるようになっていった。

 現在、国際医療福祉大学大学院で、医療経営管理学分野の准教授としてデータマイニング技術のさらなる普及をめざし、日夜、院生指導や科研費での研究活動に勤しんできた。

 この書籍は、その活動の中で、医療とITを考える研究会として立ち上げたHCI21研究会で、開催したデータマイニング講座を収録したものである。

 EBM(Evidenced Based Medicine)を実践するために、データマイニングの活用はまさに救世主に似た位置にあると考える。Evidenceであるべきデータの精緻なDataBase化や、そのための電子カルテや臨床研究システムの標準化や共有化、そして、レセプトデータや検診データの大量かつ正確な時系列データ蓄積はその二次利活用の目的があるからこそ必要性を持つことになる。

 今日、2008年から始まった特定検診と2010年のレセプトデータ・オンライン収集、そして2011年末やっとできあがったNational Data Baseを大いに活用し、地域医療再生や自治体での医療計画・住民の健康保全政策、企業であれば社員の健康保全・重症化予防へのきっかけづくりなど、ビッグデータの二次利用のためのデータマイニング活用の機会はどんどん増えてきている。

 かかる状況下で、本書が、二次利活用のテーマ発想と、データマイニング活用のヒントとなることを切に祈念している。

 最後の本書の発行に際しご執筆していただきました多忙極める諸先生方に深謝いたします。